基本給の一方的減額に対して異議を述べず受領した場合は、黙示の承諾と認められるのか?

諸手当は支給目的により変動が予定されているが、基本給は懲戒等による場合以外は減給できず、不満ながら異議を述べずに受領してきたとしても、黙示の承諾にはならないとされた事例
(平成3.12.25 大阪高裁判決 K広告事件)
判決の要点
賃金減額に対する労働者の同意の必要性
賃金は、労働契約に基づいて支払われるものであり、使用者がこれを一方的に減額できるものではないところ、賃金が基本給と諸手当に区分されている場合、諸手当はその支給目的によって支給額の変動が予定されているものであるのに対し、基本給は懲戒等による場合のほか減額されず、基本給と手当の配分の変更は、各月の賃金支給額に変動を及ぼすものであり、使用者が労働者の合意なくこれを一方的に変更することはできないというべきである。
(中略)
減額賃金受領行為は黙示の合意を意味するか・・・否定
被告会社は、賃金の減額について、原告が黙示の承諾をした旨主張するが、使用者が一方的に賃金を減額したのに対して労働者が不満ながら異議を述べずにこれを受領してきたからといって、これをもって賃金の減額に労働者が黙示の承諾をしたとはいえないのであって、本件においても、原告の黙示の承諾を認めることができないのは原判決説示のとおりである。
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