2度にわたる賃金減額の提示・告知に異議を述べなかった場合、減額の合意が認められるのか?

代表者が個別に従業員に対して減給額・減給後の賃金額を示したところ、従業員からは格別の異議が述べられなかったことにより、会社提示の額とする旨の合意が認められた事例
(平成1.11.10 東京地裁判決 N製作所事件)
判決の要点
1.尋問の結果によれば、原告が被告会社に入社した際、給料については日給8,000円とする旨合意がされたこと、その後昭和60年1月から8,250円となったが、被告会社の業績の悪化に伴い昭和61年7月から減給することとし、被告会社代表者がその頃従業員を一人ずつ呼んで減給額を提示し、承諾を得たこと、原告については7,850円としたい旨告げたこと、これに対し原告は何の異議も述べず、その後も減額後の額による給料の支払を受けていたが、給料の不足を訴えたことはなかった。
2.さらに、昭和62年7月にも同様の方法により被告会社の代表者から原告に対して、日給を7,550円に減額する旨告げられたが、原告はこれに対しても特別異議を述べなかったと認められる。
そして、この認定に反する原告本人の供述部分は、採用することができない。
3.上述認定事実によれば、原告と被告会社との間で、原告の給料を被告会社の主張するとおりの額とする旨の合意が成立していたというべきであり、原告の主張する未払い給料はないものといわざるを得ない。
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